日差しの心地よい季節になってきました。春の始まりは「立春」、秋の始まりは「立秋」、冬の始まりは「立冬」と言われますが、今回は「立夏」です。最近では、暑い時期や寒い時期が長くだんだんと日本の四季も春と秋がなくなってきていると言われたりします。今回はそんな暑い時期の始まりである立夏についてお伝えします。
立夏とは
立夏(りっか)とは二十四節気のひとつで、「夏が立つ」と書くように、夏の兆しが見え始める頃という意味で、陽気も増し夏の気配を感じる時期になります。
暦の上では立夏から夏に入るため、「立夏を迎え、暦の上では夏になった」といったとよく耳にします。いわゆる初夏にあたります。
なお、立夏から8月初旬の立秋の前日までが暦のうえでは夏になります。
いつの季節
2023年の立夏は、5月6日から5月20日です。毎年だいたい5月6日頃〜5月20頃にあたりますが、日付が固定されているわけではありません。
二十四節気は季節の移り変わりを知るために1年を約15日間ごとに24に分けたものですが、太陽の動きに合わせて1年を24等分して決めるので一定ではなく、1日程度前後することがあるからです。
また、立夏といっても、立夏に入る日を指す場合と、立夏(二十四節気の第9)から小満(二十四節気の第10)までの約15日間をいう場合があります。
旬の食べ物は?
5月ですので、端午の節句で柏餅やちまきを食べる方も多いと思います。その他にも旬のものがありますので、ご紹介します。
・新じゃがいも
通常のじゃがいもよりも皮が薄くて、柔らかい食感が魅力の新じゃがいもは、立夏の頃が旬です。しっかりと調理すれば皮ごと食べられる時期なので、皮の部分の栄養もしっかり取れますね。
・たけのこ
お吸い物や煮物、筍ご飯にするとおいしいたけのこは、立夏の頃にちょうど生えてきます。
破竹といわれるほどあっという間に伸びてしまうので、伸びすぎないうちに収穫して食べるとよいですね。
・金目鯛
気温が暑くなるほどに美味しくなってくるといわれているのが、金目鯛です。煮物にして食べるのが最も美味しいといわれ、身もほぐれやすく食べやすいです。
・いちご
5月といえばいちごと言えるほど、旬といえます。いちご狩りに出かける人も多いのではないでしょうか。他の時期に比べ甘くて水分をたくさん含んでおり、非常においしいです。
立夏らなではの俳句
立夏を表す季語としては「夏来る」「夏立つ」「夏に入る」「立夏」などがあります。
代表的な作品は以下のようになります。
横井也有
『 夏立つや 衣桁(いこう)にかはる 風の色 』
季語:夏立つ(夏)
意味:立夏の日が来たなぁ。着物掛けに掛かる着物の色が初夏の風のような色になった。
上島鬼貫
『 淀舟(よどぶね)や 夏の今来る 山かづら 』
季語:夏の今来る(夏)
意味:淀川を船が行き交っている。夏が今まさに来たような早朝の雲だ。
正岡子規
『 夏立ちし 瓶につつじの 花古き 』
季語:夏立ち(夏)
意味:立夏をむかえた。花瓶にはつつじの花が飾ってあるが、春ではなく夏になったのでもう古い花だ。
高浜虚子
『 夏立つや 忍に水を やりしより 』
季語:夏立つ(夏)
意味:立夏が来たなぁ。シノブに水をやった途端に。
山口誓子
『 汽罐車(きかんしゃ)の 煙鋭き 夏は来ぬ 』
季語:夏は来ぬ(夏)
意味:機関車の煙も鋭く見えるような夏が来た。
飯田蛇笏
『 山ふかむ ほどに日鮮か 夏来る 』
季語:夏来る(夏)
意味:山深く分けいるほどに日の光が鮮やかになり、立夏をむかえたのだなぁと感じる。
高木晴子
『 白々と 立夏の月の 在りどころ 』
季語:立夏(夏)
意味:白々と輝く立夏の月はここに在る。
阿部みどり女
『 樫(かし)の葉の 旺んに降りて 夏に入る 』
季語:夏に入る(夏)
意味:樫の葉がさかんに視界をさえぎるように降りてきて、夏である立夏をむかえたと実感する。
中村草田男
『 毒消し飲むや わが詩多産の 夏来る 』
季語:夏来る(夏)
意味:毒消しを飲もう。私の詩作がたくさんできる夏が来る。
西東三鬼
『 おそるべき 君等の乳房 夏来る 』
季語:夏来る(夏)
意味:薄いブラウスに盛り上った豊かな胸は、見ないではいられない。彼女たちはそれを知っていて自由に振る舞っている。夏が来たような生命力だ。
立夏 まとめ
5月の端午の節句が終わったあたりの時期になり、どんどん気持ちのいい気候になってきます。暑い時期に向けて、だんだんとテンションも上がってくる方もいるのではないでしょうか。ただこの時期から日差しや暑さに体を慣らしていかないと、夏本番で夏バテを起こしてしまうかもしれません。日頃から栄養のあるものをしっかり食べ、近年ブームになっているキャンプなどで外に出て、徐々に体を作っていきましょう。