あなたも職場や自宅でムカデを見たことはありませんか?
そのグロテスクな見た目と噛まれると危険な特徴から、すぐに駆除したいと思うことでしょう。
しかしながら、ムカデは時に「殺してはならない」と言われることがあります。
今回は、ムカデが益虫なのか、どうして殺してはならないのか、そしてムカデが持つ何本の足についても詳しく解説します。」
ムカデは益虫って本当なの?どんな良い事があるの?
さて、今回紹介するのはムカデについてです。
実は、この毒々しい虫には、我々人間にとって有益な面があるのです。なんと、ムカデはゴキブリを捕食してくれるんです。
ゴキブリは家庭内に発生すると不快なだけでなく、菌やウイルスなどの病原体を媒介して、サルモネラ菌や赤痢菌などの感染症の原因になります。
さらに、家の中の食べ物を食べ荒らしてしまうことも。ですが、ムカデがいれば心配要りません。
また、ムカデには小型哺乳類なども食べるものもいるので、ムカデは有益な益虫なのです。
更に、ムカデにもう一つ良い面があります。
それは、ムカデの油漬けや乾物が、火傷や切り傷などの怪我に効果があるとされ、薬としても販売されていることです。
そういった面からも、ムカデは興味深い昆虫なのです。
ムカデには害虫としての危険性も
ムカデは、一見すると益虫のように見えますが、その危険な面もあります。
ムカデは特殊な牙である「顎肢(がくし)」に毒腺を持ち、この毒を使って他の昆虫を獲物にします。さらに、中には小動物のネズミなどさえも捕食する強力な種類も存在します。
ムカデの毒はハチの毒と非常に似ており、ヒスタミンやセロトニンなどの致死成分が含まれています。この毒を体内に取り込むと、非常に激しい痛みが生じ、患部は腫れあがります。
ムカデは夜行性であるため、夜中にムカデに咬まれるということも十分に考えられます。
実際に、寝ている間にムカデに咬まれたというケースや、寝ていた赤ちゃんが咬まれたという事例も報告されています。
この恐怖によって、睡眠不足に陥っている人も少なくありません。つまり、ムカデに咬まれる可能性を恐れるあまり、人々は夜に睡眠を取ることができません。
ムカデを殺してはいけない4つの理由とは?
ムカデを殺すことは、非常に厳禁である理由が4つ存在することが知られています。
ムカデを殺してはならないという信念が古くから語り継がれてきた理由がどういったことなのかを見ていきましょう。
ゴキブリやネズミを食べてくれるから
ムカデは多くが肉食性で、他の虫類だけでなく、時にはネズミや小鳥などの動物まで捕獲して食べることがあります。
とりわけムカデが大好物とするのが、ゴキブリです。西門カジカを聞くだけでもゾッとしますね。
ただし、ゴキブリは人間にとっては、精神的にも衛生的にも厄介な「害虫」の代表格です。
ネズミも病原菌を運んだり、家や家財道具を傷つけるなど、健康的・経済的に損害を与える存在です。
しかし、ムカデのような「益虫」は、人間にとってもメリットがあります。なぜなら、虫をムシャムシャと食べて数を減らしてくれるからです。
クローズアップしてみると、ムカデやクモは、人間にとっては栄養補給や病気の予防に役立つ益虫といえます。特に、ムカデはクモを捕食するので、大きなクモが出て困った人にとっては心強い味方となるでしょう。
したがって、ムカデを殺してはならない理由の一つがここにあります。
ムカデを殺すと仲間を集めてしまうから
「ムカデを潰すと仲間を呼ぶ」という噂が広まっています。
この噂は、ムカデが潰されると体液から匂いがするため、仲間がその匂いに反応して襲ってくるというものです。そのため、ムカデを殺してはいけないと言われています。
しかし、実際には、ムカデの体液が匂っても、それによって仲間が反応して襲ってくるという科学的な根拠は存在しないといわれています。
つまり、この噂は単なる迷信であり、ムカデを殺すことが必ずしも仲間を呼ぶわけではないことに注意が必要です。
縁起が良い虫だから
多数の脚を持つ生き物であるムカデには、商売繁盛や金運上昇に縁起が良いとされる「御足(お金)」や、子孫繁栄を象徴する卵を多数産む特徴があります。
また、ムカデの勇ましい歩き方は、戦国時代には甲冑や旗指物のデザインに用いられるほど、勇気や力強さを象徴するシンボルとして広く認知されていました。
一方で、ムカデには「毘沙門様の使い」という言い伝えもあり、神仏信仰に関する意味合いも持っています。さらに、その姿かたちが鉱脈に似ているとされ、鍛冶師や鉱山師などの職業に関わる人々から信仰を受けていました。
以上のように、ムカデには様々な意味合いがあり、古くから人々に親しまれてきました。
ご先祖様のお使いだから
昔の日本人は、外から家の中に入ってくる虫や生き物をご先祖様が帰ってきてくださったと信じていました。
特に、ムカデを見るとご先祖様が生まれ変わって家に会いに来てくれたと考えられていたそうです。
この考え方は、一部の地域で伝統的に守られており、祖父母から両親、そして子供たちへと受け継がれています。しかし、ムカデは普段家の中にはいないため、たまにしか出現しないことから、余計に重要視されていたのかもしれません。
一方、ゴキブリは家に居座ってしまうため、ムカデとは違い、虫としては目立たない存在となっています。
ムカデを殺してはいけない理由 まとめ
ムカデを殺してはいけない理由には、ゴキブリやネズミを捕食する益虫であることが挙げられます。
しかしながら、現代においてはゴキブリやネズミ退治にムカデを任せることは現実的ではありません。
また、「仲間が集まる」という説は、真実ではなく、誤解です。
また、「縁起」や「信仰」に基づく理由については、信じるか信じないかは個人の自由です。
ただし、ムカデに噛まれると危険な場合があるため、家に放置することはできません。
したがって、ムカデを殺すことに悪いことが起こるという訳ではありませんが、駆除するだけでなく、逃がす選択肢も重要と言えます。