日頃は気温の変化と今が何月かで春夏秋冬を意識していることがほとんどではないでしょうか。秋も「なんだか涼しくなってきたから」といったことから判断している方が多いと思います。暦の上ではしっかりと「立秋」というものがあります。今回はその立秋についてご紹介します。
立秋の意味とは
立秋とは秋の始まりを指します。夏の暑さが極まり、秋に向け季節が移り変わり始める日という意味です。つまり暦のうえでは立秋が夏の暑さのピークであるとされ、立秋の翌日からの暑さは「残暑」と呼ばれるようになります。
ですが、暦上では秋の始まりといっても、実際にはまだまだ暑さの厳しい日は続き、どちらかというと夏真っ盛りという印象を持つ人も少なくないのではないでしょうか。暦上の季節と実際の季節感が異なるのには理由があります。
そもそも二十四節気は、昼が最も長い夏至、最も短い冬至、そして昼夜の時間がほぼ同一の春分と秋分など、春夏秋冬の4つの季節に分けて1年を24等分したもので、古代中国の特に黄河流域の寒い気候にあわせて作られたといわれています。当然ながら現代の日本と気候が異なりますので、季節感も異なるのは当然でしょう。
それでも、立秋を過ぎれば日を追うごとに空や雲の様子が変わり秋を匂わせ、スズムシやマツムシなどの美しい鳴き声も耳にするようになり、少しずつ秋を感じられるようになります。
立秋の旧暦は?
立秋とは、二十四節気と呼ばれる暦の季節の名称のひとつです。毎年8月7日頃のことを旧暦で立秋と呼びます。二十四節気では、「立秋」などの名称は特定の一日だけでなく【期間】としての意味もあります。
2017年で言えば、立秋の期間(=七月説節)は8月7日から処暑(しょしょ)の前日の8月22日までの15日間になります。立秋の前は「大暑(たいしょ)」、大暑があけて立秋をすぎると8月23日からは「処暑(しょしょ)」の季節がはじまります。
さらに、二十四節気の約15日間を、さらに5~6日間ずつの3つに細分化した、「七十二候(しちじゅうにこう)」という季節の呼び方があります。
七十二候は季節を詩のように表現していて、日本の実情に合わせて何度か呼び名が変わりました。以下は1874(明治4)年の「略本歴」に掲載された呼び名です。
〇涼風至(すずかぜいたる)8月7日~8月11日ごろのこと。
まだ残暑は厳しいながらも、ちょっとした瞬間に秋を感じさせる風が吹き、季節の移ろい
を感じさせる時期という意味。
〇寒蝉鳴(ひぐらしなく)8月12日~8月16日ごろのこと。
夕暮れ時になると、「カナカナカナ…」という寂しげなヒグラシの鳴き声が聞こえ始める
季節という意味。ヒグラシは秋の季語でもあります。
〇蒙霧升降(ふかききりまとう)8月17日~8月22日ごろのこと。
蒙霧は、立ちこめる霧。朝晩には涼しい日もあり、山沿いでは冷えた空気が深い霧になっ
て漂う時期という意味。
立秋の時期はいつごろまで?
立秋とは、二十四節気のひとつです。二十四節気は季節の移り変わりを知るためのもので、約15日間ごとに24の期間に分けられています。
立秋といっても、「立秋に入る日」と「立秋(二十四節気の第13)~処暑(二十四節気の第14)までの約15日間」とをさす場合があります。
立秋は旧暦で毎年8月7日頃のことです。ただし、太陽の位置で毎年計算されて日時が決まるため、年によっては8日になることもあります。
そのため今年の立秋は8月8日になります。
日付がずれてしまう理由は、太陽と地球の位置を固定して日時をあわせて決めているからです。年に1回、地球と太陽が決まった位置関係になったタイミングのことを立秋と名付けているので、「8月7日は立秋の日にしよう」というように日付で決めているわけではありません。日付そのもので決まっている「節句」等とは全く考え方が違うのです。
新暦との違いは?
日本では、明治6年以降新暦(グレゴリオ暦)が採用され、一年十二ケ月を大きく春夏秋冬の4つの季節に分けています。つまり春は3~5月、夏は6~8月、秋は9~11月、冬は12~2月となります。
新暦とは現在使われているグレゴリオ暦のことをさし、旧暦とはそれ以前に使われていた暦のことをさします。両者を区分けするために新暦を「太陽暦」、旧暦を「太陰暦」ということもあります。(厳密には太陽暦にはユリウス暦なども含まれます。同様に太陰暦にも、太陰太陽暦として和暦以外の暦も含まれます。)
手紙などの中で述べる季節の挨拶の言葉は、旧暦からくる二十四節気を引用することが大変多くあります。
立秋 まとめ
最近では暑中見舞いや残暑見舞いなどはがきで書く人は減ってしまい、こういった暦の区切りを意識することは減っているかもしれません。ですが、やはりいろいろな意味があり、意識すると、いわゆる旬な物やこと、食べ物などがわかるようになり、四季折々を楽しむことができるようになります。立秋の時期には桃やイチジクが旬になります。今度の立秋においしくいただいてみるのはいかがでしょうか。