みなさんは夏至の日をご存じでしょうか。
普段ニュースなどで聞くことは「昼が長いこと」くらいの認識ではないでしょうか。
実は二十四節気の中で意味があるものなのです。今回はあまり日頃気にかけない夏至についてご紹介したいと思います。
夏至の時期は?
夏至(げし)とは、「夏に至る」と書くように、夏の盛りに向かっていく頃です。
二十四節気の10番目で、夏を6つに分けたうちの4番目の節気です。「立夏」と「立秋」のちょうど真ん中になります。
つまり、暦の上では夏の真ん中となります。
毎年6月21日〜7月7日頃にあたり、2023年は6月21日(水)から7月6日(木)までの16日間ですが、カレンダーには初日に「夏至」と記載されています。
一般的に「夏至」と言うときには、この初日を指すことが多いです。
当日は何をする?
夏至初日から11日目は「半夏生(はんげしょう)」と呼ばれ、季節の移りかわりの目安となる雑節(ざっせつ)の一つ。
「田植えは夏至の後、半夏生に入る前に終わらせるもの」と、農作業の大事な目安にされてきました。
ですので、夏至だからといって必ずすることは特にありません。
そんな中、関西では半夏生にタコを食べる風習があります。
これは稲の根がタコの足のように、強く広く大地に根付いてほしいと祈願するものです。
大阪湾から瀬戸内海にかけての海では、身の引き締まったおいしいタコが獲れることで有名です。
その他にも奈良や大阪・河内地方を中心とした近畿地方では「半夏生餅(はんげしょうもち)」を田の神様に供えて感謝をする習わしがあります。
半夏生餅とは、収穫した小麦ともち米を合わせてつき、きな粉をまぶしたもの。今も半夏生の時期には、郷土の行事食として和菓子屋さんに並んだりもします。
夏至の由来
明治5年まで日本では、中国から伝わった『太陰太陽暦』が使われていました。江戸時代に天文学が広がり、暦と実際の天体の動きのズレが指摘され、それを解消するために暦の変更が何度も行われています。
そこで使われるようになった暦が、『二十四節気(にじゅうしせっき)』です。二十四節気では、1年の太陽の動きを15度ごとに24等分に分けています。
夏至をはじめ春分・秋分・冬至は、その24個に分けられた季節の一つなのです。二十四節気は広く知られている四季よりも、より細かく季節が分けられています。
そのため、季節の移り変わりをより深く感じられるのが魅力です。
例えば、春は立春(りっしゅん)・雨水(うすい)・啓蟄(けいちつ)・春分・清明(せいめい)・穀雨(こくう)があります。
梅の花が咲き始める立春から、春の雨が降り始め種まきなど農作物の準備をする穀雨という具合です。
夏は、5月初旬の新緑を楽しめる立夏(りっか)から、日照時間がもっとも長い夏至を過ぎ、夏の暑さが本格化する大暑(たいしょ)までになります。
また、春分の日や秋分の日といった祝日や季節のイベントの開催など、二十四節気は現代の私たちの生活と深い関わりがあります。
毎年同じ時期に同じ季節が巡ってくるため、古くから農業にも用いられてきました。農作業をする上で大切な目安になっているのです。
田植えは『夏至の後に始め、半夏生の前に終わらせる』というのが基本となり、『半夏生』は夏至から数えて11日目のことで、この期間を過ぎると、秋の収穫に悪影響がでるといわれてきました。
このように農家にとって半夏生は特別な日であるため、神棚にお供え物をしたり、田の神に感謝する行事が行われたり、各地でさまざまな風習が残っています。
夏至のイベント
夏至として行われる大々的なイベントは特にありません。
その中で代表的なものは三重県伊勢市にある二見興玉神社で行われている「夏至祭」です。
境内にある夫婦岩も有名な神社で、古くは伊勢神宮に参拝する前に二見浦の海水で心身を清める禊をする「浜参宮」という慣わしがあったことでも知られています。
二見興玉神社が禊の場と考えられたのは、海中に猿田彦大神縁りの霊石「興玉神石」があるためです。
このシンボルと言える夫婦岩は興玉神石に対しての鳥居の意味があり、興玉神石のパワーに満ちた二見浦の水は神聖なものと考えられていました。
鳥居ともされている二見興玉神社の夫婦岩、夏至の時期になるとちょうど岩の間から朝日が昇ります。
夫婦岩の間から昇る日を浴びながら、二見浦に入って禊を行う「夏至祭」が行なわれるようになったと言われています。
日本の神様の中で最高位の天照大神は太陽の化身とされていますので、最も日の長い夏至の日に天照大神を迎える意味合いがあるのではないかという説もあります。
夏至 まとめ
夏至には二十四節気によって表されるもので、大事な意味合いがあることがわかりました。ただ、現代では農家の方でもないと中々意識するものではないでしょう。
ですが、一日の中で昼の時間が長いことはご承知の通り。ぜひ、長い時間を楽しい時間の過ごし方と考えて、スポーツやアウトドアの趣味に充てるのもいいかもしれませんね。